エコ 西海岸カルチャー

世界でも有数のエコカーの聖地、
カリフォルニア!

12/29/2015

tesla

photo by www.motortrend.com

数多くのエコカーが
カリフォルニアから生まれている?

プリウスなどのハイブリッドカーや話題の燃料電池車、電気自動車など、エコカーがどんどん増えている昨今。中でも西海岸、特にカリフォルニアが世界のエコカーをリードする場所だって知ってましたか?ここではカリフォルニアとエコカーの関係についてお話します。

アメリカといえば、まだまだ日本と比べるとピックアップトラップやSUVなど大型車の人気が高く、自動車に関してエコな国というイメージはあまりないのではないでしょうか?しかし、カリフォルニアを筆頭とする西海岸では、状況が全く異なります。カリフォルニアが世界のエコカーをリードする一番の所以は、カリフォルニア州大気資源局(CARB)が義務付ける「ZEV規制」にあります。

「ZEV」とは「Zero Emission Vehicle」の略で、日本語にすると「排気ガスゼロ自動車」という意味。これは簡単に言うと、自動車メーカーにカリフォルニア州内において、排気ガスを全く出さない自動車の生産を義務付ける決まりです。具体的には2015年現在、カリフォルニア州内において年間6万台以上を生産するメーカーが対象となっており、日本車メーカーはトヨタとホンダ、日産。アメリカのメーカーがGM、フォード、クライスラーです。しかし、2018年以降は、BMWやマツダ、フォルクスワーゲンなど販売台数が中規模の自動車メーカーにも規制が適用される予定となっています。

「FIAT 500」の電気自動車バージョン、「FIAT 500E」が販売されているのは、カリフォルニア州だけ!

「FIAT 500」の電気自動車バージョン、「FIAT 500E」が販売されているのは、
カリフォルニア州だけ!

ZEV 規制対象のメーカーは2015年現在、全生産台数のうち14%を排気ガスゼロ車としなければなりません。この数字はクリアするのにかなり厳しい数字なのですが、カリフォルニアはアメリカでも最大の自動車市場なので、どのメーカーも無視することはできません。また、クリアできなかった場合は1台あたり5000ドルの罰金が科される上、きちんと対応していかないと「エコに関して無関心な自動車メーカー」というレッテルを貼られてしまいかねないため、各メーカーは苦心して対応をしています。

しかしその結果、カリフォルニアから新しいエコカーが生まれているとも言えるのです!ちなみに、14%という割合は今後、段階的に上がっていく予定です。面白いのは、達成できなかったメーカーは、達成できている他社からクレジットを購入することで、達成に持っていくことができるという仕組み。この売却によって、カリフォルニアの電気自動車メーカー、テスラ社は2013年の上半期、約1億4000万ドルもの売上があり(!)、同車の経営を強く支えているとか。

エコカーは一般消費者にも
ハリウッドセレブにも人気!

では、ZEV規制に対応したエコな自動車には、どんなものがあるのでしょうか?

●燃料電池自動車
水素と酸素の化学反応によって発電した電気を使ってモーターを動かして走る自動車。世界に先駆けてデビューしたトヨタの「MIRAI」や、2015年の東京モーターショーで世界発披露されたホンダの「クラリティ・ヒューエル・セル 」などが代表です。排気ガスの代わりに水しか排出しないということで「究極のエコカー」とも言われています。今後、水素補給のインフラをいかに普及させるかが課題ですが、カリフォルニアでは2016年3月時点で26カ所の補給ステーションが設置されており、今後も急速に増えていきそうな予感。ただ、他州はまだまだほとんど設置されていないのが現状です。

あああああ

どこまでインフラが広がり、市場に浸透していくか?
これからが勝負のトヨタ「MIRAI」

●電気自動車
バッテリーでモーターを動かして走る自動車。このジャンルでなんといっても目立っているのはカリフォルニアに本社を置くテスラ。そのほか、日本車メーカーでは日産の「リーフ」や三菱の「i-MiEV」などが挙げられます。

●プラグインハイブリッド車
ガソリンエンジンとバッテリー、モーターを併用して走る自動車。近所を走る時など、自宅でバッテリー充電ができる点、バッテリーとモーターのみで走ることもできる点などが従来のハイブリッド車と異なる点です。

●天然ガス車
天然ガスで走る車もエコな自動車で、フォードなどの大型ピックアップ車に採用されているほか、ホンダの「シビック」にも天然ガスモデルがあります(「シビック」の天然ガスモデルのアメリカでの生産は2015年モデルで終了)。天然ガス供給のインフラが不十分なこと、顧客の需要が引き出せなかったことなどが原因とか。日本でもタクシーの多くは天然ガス車でトヨタが9割のシェアを占めていたのですが、2017年に生産を中止し、ハイブリッド車に移行していくそう。天然ガスの価格がガソリンに比べてそれほど安くなくなったこと、ハイブリッドカーの生産により力を入れていきたいことなどが主な理由のようです。

カリフォルニアでは、これらエコカーに乗っていれば、フリーウェイ(高速道路) 上で「カープールレーン」と呼ばれる優先車線を走ることができ、渋滞時もスイスイ走れちゃいます(混雑ピーク時は、カープールレーンでも渋滞になったりしますが…)。このカープールレーン、もともとは2人以上乗った自動車が走ることができるレーンで、自動車の数を減らして排気ガスを減らそうというカリフォルニア州の取り組みの一つです。ちなみに、トヨタ「プリウス」をはじめとするハイブリッドカーは、もうこのカープールレーンを走ることができなくなっています(プラグインハイブリッドモデルは走れます)。これは、「ハイブリッドカーはもはや環境に優しいとはいえず、メーカーはさらなる技術革新を!」というカリフォルニア州の意思表示でもあります。

カープールレーンが走れるという以外にも、エコカーを買うメリットはあります。アメリカ連邦政府の「Green Car Credit」により特定の自動車が7500ドルの税控除が受けられるほか、カリフォルニア州からも1500ドル〜2500ドル程度の税控除が受けられるのです。このようにして、カリフォルニア州ではエコカーの普及をどんどん促しています。

また、電気自動車などのエコカーは、最新技術が詰まったクールな自動車であることに加え、エコに関心があるというブランディングにもなるため、ハリウッドセレブたちにも大人気です。レオナルド・ディカプリオやライアン・ゴズリング、マイリー・サイラス、ブラッドリー・クーパー、ドリュー・バリモア、サラ・ジェシカ・パーカーなど多くのスターたちが、トヨタ「プリウス」に乗っている姿を目撃されているほか、テスラ社の「Model S」に乗っている有名人は、キャメロン・ディアス、シャキーラ、ジェニファー・ガーナー、デミ・ムーア、ジョージ・クルーニー、ウィル・スミスなど枚挙にいとまがありません。

 
 
◉引用元:

  • Zero Emission Vehicle (ZEV) Program」(Air Resources Board)
  • The Incentives Information Center」(U.S. DEPARTMENT OF ENERGY)
  • Station map」(California Fuel Cell Partnership)
  • 「Alternative Fueling Station Counts by State」(U.S. Department of Energy発表)
  • Stars in Eco-Friendly Cars」(『E! Online』)
  • 33 Celebrities Who Drive Teslas」(『Ranker』)
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    Totti

    元West Coaster運営者&Co Founder。 LA在住歴10年超のアラフォー日本男児。日本では書籍や雑誌、Webメディアの編集および執筆、広告制作などに従事。現在はフリーランスの編集者&ライター。

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