アメリカ、西海岸におけるオーガニック文化の歴史

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アメリカでのオーガニック商品の売上は
ナント…○○○億ドル!

2014年、アメリカでのオーガニック食品およびその他オーガニック製品の売上はそれまでの記録を抜き、なんと391億ドル(4兆6920億円 ※1ドル=120円で換算)にも上りました。これは前年比11.3%にもなり、アメリカにおけるオーガニック・ムーブメントの勢いはとどまることを知らない状況です。そして、西海岸では買い物において何かしらのオーガニック商品を買うという家庭は約90%にも及ぶとか(テキサス州など南部の州は68〜80%)。

今でこそ、西海岸はもとより、アメリカではどこでも信頼できるオーガニック製品が簡単に手に入りますが、15年くらい前まではそうはいきませんでした。というのも、アメリカ全土でオーガニックの規定が統一されていなかったからです。現在ある、USDA(米国農務省)による全米統一のオーガニック認定制度(「アメリカでのオーガニック(有機栽培)とは?」を参照)ができるまでには、長い道のりがありました。

アメリカでオーガニック製品の認定制度が最初に作られたのは1973年。国ではなく、ポートランドがあるオレゴン州でした。他州もこれに続き、1990年までに22の州がオーガニック製品の認定制度をそれぞれ独自に設けました。これらの認定制度は大きく分けて以下の3つのタイプに分かれていました。

①州独自のオーガニック認定制度を作成および運営:3州
②独立したオーガニック認定機関のルールを採用:4州
③州が「オーガニック製品とは何か」を定義するも、それを認定する制度がない:15州

この中には先に上げたオレゴン州はもちろん、カリフォルニア州、ワシントン州も含まれていました。さすが西海岸!…と言いたいところですが、このような状況では、「オーガニックとはどうあるべきか」の基準や定義が国の中でバラバラ。州間でオーガニック商品の取引きをする際にはどちらも州のルールを適用するかなどが問題になる上に、小売店や消費者もオーガニックフードがどれだけ安全に足る信用できるものなのか、混乱していました。そこで1980年代後半、オーガニックフード業界はアメリカ合衆国議会に「オーガニック」を国全体で統一して定義する法案を作成するよう要望を出しました。そして紆余曲折を経て2000年、USDAがついにアメリカ全土で統一したオーガニックの規定および認定制度を完成させ、世の中に発表しました。

以降、アメリカでは別の州で作られたオーガニック食品でも安心して食べられるようになったほか、厳しいオーガニック認定をくぐり抜けた食品ですから、日本を含めた海外でもその需要がどんどん増していきました。

 

西海岸でオーガニックが浸透しているのは
ヒッピーのおかげ?

では、なぜ特にアメリカ西海岸で、オーガニック文化志向が高まったのでしょうか?根本的な理由の一つとして挙げられるのは、1960〜70年代、サンフランシスコを中心に栄えたヒッピー文化。ヒッピー文化における「ラブ&ピース」の精神は、地球や環境、人の健康に優しい「オーガニック」といった考え方に通じるものがあったため、サンフランシスコの人たちには受け入れやすかったと考えられます。実際、サンフランシスコにはオーガニック食材を使ったレストランが数えきれないほどあるのですが、中でも有名なのが1971年にオープンした「Chez panisse(シェ・パニーズ)」。「カリフォルニアでオーガニックが流行ったのはこの店があったから」とまで言われる同レストランは、西海岸のみならずアメリカ中のシェフに影響を与えました。今でも予約が困難な人気店であるこのお店の創業オーナー兼シェフは、アリス・ウォーターズという女性。地元農家の新鮮な食材を使い、素材そのもののおいしさを生かす料理を提唱したことから、「地産地消」の考えを早くから取り入れた人としても評価されています。ちなみにこのお店、ベジタリアンではなく、肉料理も豊富です。

サステイナブルな都市として知られるポートランドも、西海岸のオーガニック文化はリードする街。ビルの並ぶ大都市でありながら街のつくりがコンパクトなため、一歩街から出れば周囲は緑の大自然。さらにサンフランシスコのヒッピー文化を享受した人たちが多く移り住んだ街という側面もあり、人々の自然や環境、健康食などへの意識が非常に高い。それゆえ、ローカルに多くのオーガニック農場があり、そこで作られた作物がきちんとローカルで消費されていく、という理想的な循環が維持できているんです。

その他、多くのハリウッドセレブを抱えるロサンゼルスもオーガニック文化の中心地。セレブにはベジタリアン、ローフード、オーガニック、マクロビオティックなどの健康食を実践している人がとても多いですが、そんな彼らのライフスタイルがメディアで紹介されることで、 一般の人々に影響を与えています。健康的な食生活がファッションの一部と捉えられているんです。「食がファッション…?」と拒否感を感じてしまう人もいるかもしれませんが、結果的にそれが人々の健康にいい影響を与えているのであれば、結果オーライというところでしょうか(笑)。

以上、西海岸におけるオーガニック文化の簡単なまとめでした。ロサンゼルスやサンフランシスコ、ポートランドには、オーガニックレストランが多いのはもちろん、地元農家の野菜が直接買えるファーマーズ・マーケット、さらにホールフーズ(Whole Foods Market)、トレーダージョーズ(Trader Joe’s)のようなオーガニック商品を扱うスーパーマーケットもたくさんあります。皆さんも西海岸に来られた際は、ぜひ訪れてみてください!

 

◉引用元:

  • The History of Organic Food Regulation」(The Harvard Community)
  • U.S. consumers across the country devour record amount of organic in 2014」(Organic trade association)

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